仕事をする上で大切な考え方

人は学校や社会を出たら、勉強やスポーツのできる人、仕事のできる人など何かしらの評価を間接的あるいは直接的に受けています。しかし、それができることと、人間的に素晴らしいこととは必ずしも結び付かないものです。

また、出来の悪い子ほどかわいいという言葉があるように、特に身内などであれば、できる、できないの能力ではなく、その人の存在そのものが大切になります。利用者の中には、認知症などの影響で、暴言や暴力といった言動が見受けられる人もいますが、その人の存在そのものを割り切ってとらえることができれば、言動から感じるヒドイという感情からは解放されるものです。

介護の世界では、存在をあるがままに受け入れる受容が、尊厳につながるため、介護職員の価値観で利用者を一方的に判断しないことが大事です。とはいえ、頭でわかっていても、実際にそんな場面に直面すると、うまく対応できない介護職員も多くいます。

その時は、まず自分にとって大切な人を思い浮かべ、利用者と同じような状況に大切な人がなった時、その人の存在は大切ではなくなってしまうかという問いを自分に投げかけてみることが重要です。

もちろん、そんなことはないと考える人が多数でしょう。そこには、その人との関係を築いたプロセスというものも存在します。現場の利用者、家族との関係構築もここにヒントがあるのです。

罪を憎んで人を憎まずというのは、介護の仕事をする上で欠かせない考え方ではありますが、それを実感できるかどうかは相手との関係性に左右されるものなのです。